大量の水を吸い込んでずっしりと重くなった洗濯物が、いつまで経っても脱水されずに洗濯槽の中に残っている。この「脱水できない」というトラブルは、洗濯機の故障の中でも特に頻繁に発生し、多くの人を悩ませる問題の一つです。しかし、実はその原因の多くは、機械的な故障ではなく、ごく簡単な確認やお手入れで解決できるケースが少なくありません。専門業者に連絡する前に、まずは以下の三つのポイントをチェックしてみてください。 一つ目の原因は、洗濯物が洗濯槽の中で「偏っている」ことです。特に、防水性の高いジャンパーやシーツ、あるいは大きなバスタオルを一枚だけ洗った時などに起こりやすい現象です。洗濯物が片側に寄ってしまうと、高速で回転する脱水時にバランスが崩れ、洗濯機本体が激しく振動します。安全装置がこの異常な揺れを感知し、故障を防ぐために自動的に運転を停止させてしまうのです。この場合は、一度電源を切って蓋を開け、洗濯物を手でほぐして、槽の中に均等に広げ直してから再度脱水を行えば、問題なく動き出すはずです。 二つ目の原因は、「排水」がうまくいっていないことです。脱水工程に入る前には、まず洗濯槽の中の水を完全に排出しなければなりません。この排水がスムーズに行えないと、洗濯機は次の脱水ステップに進むことができないのです。排水ができない最も一般的な原因は、「排水フィルター」の詰まりです。多くの洗濯機の本体下部には、糸くずやホコリをキャッチするためのフィルターが設置されています。ここがゴミで目詰まりしていると、水の流れが妨げられます。フィルターを取り外してきれいに掃除するだけで、劇的に状況が改善されることは非常によくあります。また、本体から伸びる排水ホースが、折れ曲がっていたり、何かの下敷きになっていたりしないかも確認しましょう。 そして三つ目が、洗濯物の「入れすぎ」です。洗濯機にはそれぞれ容量の限界があり、それを超える量の洗濯物を詰め込むと、モーターに過剰な負荷がかかり、脱水が正常に行えなくなります。 これらのセルフチェックを試しても改善しない場合は、モーターやベルトの不具合といった本格的な故障が考えられます。その際は、無理せず専門家に相談しましょう。しかし、まずは落ち着いてこれらのポイントを確認することが、迅速な問題解決への近道なのです。
洗濯機が脱水できない!その原因と解決策