洗濯機の排水ホースは、普段あまり意識することのない部分かもしれません。しかし、洗濯トラブルの多くは、実はこの見落とされがちなホースに原因があることが少なくありません。私もお客様から「洗濯機が変だ」「水が漏れている」という相談を受けると、まず排水ホースの状態を確認するようにしています。その経験から、皆さんに知っておいてほしい「見落としがちな問題」についてお話ししたいと思います。最も頻繁に見落とされる問題は、排水ホースの「隠れた詰まり」です。お客様は「排水フィルターはこまめに掃除している」とおっしゃるのですが、ホースの内部まではなかなか手が届きません。洗濯中に衣類から出る細かい繊維や髪の毛、ペットの毛、そして洗剤の溶け残りなどが、ホースの内部に少しずつ蓄積していきます。特に、ホースのカーブしている部分や、洗濯機との接続部分、あるいは排水口との接続部分など、水の流れが緩やかになる場所に固まりやすい傾向があります。見た目には問題なくても、内部がヘドロ状に詰まっているケースは少なくないのです。次に、排水ホースの「ねじれや折れ曲がり」です。洗濯機を設置する際や、掃除のために洗濯機を動かした際に、排水ホースが無理な形でねじれてしまったり、壁や家具との間に挟まって強く折れ曲がってしまったりすることがあります。この物理的な障害は、水の流れを完全に止めてしまうほどの影響力があります。私も現場で、お客様が何度も洗濯機を分解しようとされたのに、原因はホースの簡単なねじれだった、という経験が何度もあります。また、意外と見過ごされがちなのが「排水口との接続」です。排水ホースの先端が、床の排水口にきちんと差し込まれていない、あるいは差し込みが浅すぎて隙間ができてしまっていることがあります。ここから水漏れが発生したり、下水からの悪臭が上がってきたりします。逆に、深くまで差し込みすぎると、ホースの先端が排水口の底に密着してしまい、水の流れを妨げてしまうこともあります。これらの問題は、日頃から意識して排水ホースの状態を確認する習慣があれば、比較的簡単に発見し、対処できるものばかりです。洗濯機の調子が悪いと感じたら、まずは排水ホースを真っ直ぐに伸ばし、ねじれがないか確認し、排水口との接続が適切かを見てみてください。
洗濯機の排水ホースで見落としがちな問題